三浦大輔監督とバント問題

 バンテリン中日3連戦1勝1敗で3戦目です。今季は今のところ分が悪い対戦となっているので、一度、勝ち越しておきたいですね。

 と、思ったら、涌井投手相手に初回9得点というビッグイニングを作りました。涌井投手は今季これまで2勝0敗防御率0.77という好成績だったので、誰もが予想できなかった結果です。涌井投手は1回を持たずにマウンドを降りました。

 1番桑原選手2番蝦名投手と初球ヒット。3番佐野選手は4球目のシンカーを詰まりながらもセンター前へ。4番牧選手は初球のシンカーをレフトスタンドへ。4人で4点です。その後も攻撃の手を緩めず、今季初先発の石田投手はマウンドに上がる前に打席に向かうという珍シーンも拝めました。打者一巡しても桑原選手・蝦名選手・佐野選手がタイムリーを放つという猛攻撃でした。

 中日さんの攻撃を待たずして、試合を決めてしまった感のある状態でした。先発の石田投手はずいぶん余裕を持ってマウンドに上がれたのではないでしょうか。ストライクゾーンにどんどん投げられますよね。加えて投球の幅を広げてスローカーブを多投。均衡している試合ではスローカーブは投げづらいところですが、いかようにも攻められる。攻撃と守りは連動しているというか。点差が広がると投手も楽に投げられるという一つのサンプルとなるような試合でした。

 試合は二桁点差での大勝。なんだかんだで、バンテリン中日3連戦を勝ち越して終えることができました。

■今季の三浦監督は中盤までバントをさせない

 本日は初回にビッグイニングを作りました。昨季までの三浦監督であれば、初回先頭にランナーが出るとすぐにバントをさせていましたね。 

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 バントの得点期待値は?損益分岐点は?なんて話はセイバーメトリクス界隈では、昔から言われている話なんですけど、私自身はあまり興味がないのです。バント効率を統計として出したとき、本日のような試合も統計の中に組み込まれるわけでしょう。イケイケの状態でビッグイニング作ったら、そりゃあ、バントなんかしないし、打たせるし、打てちゃうし、大量点が入っちゃう。また、12-1の試合と1-0の試合でのバントの重要度って全然違うじゃないですか。

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 そんなことよりも視座に置きたいのは相手投手の心理状態。

 例えば、先発投手が初回、先頭打者を四球なりヒットなり、ランナーを出したとする。そしたら、先発投手はまずはアウトを取りたい。1点取られることはさほど痛くない。1点2点は後々逆転してくれる可能性はある。

 例えば1-0の8回裏。セットアッパーが先頭打者を出塁させてしまったとする。セットアッパーはどう考えるか。アウトを取るのは当然のことで、それどころか1点もあげたくない。ヒッティングで来てくれれば、併殺を取りに行く配球になる。バントで送られれば、1ヒットも打たれたくないという状況に陥る。そしたら、まあ、攻撃側はよっぽどの好打者が打席に立たない限りはバントさせるでしょう。

 度会選手のグラスラで記憶の新しい4月26日8回裏の逆転劇も、先頭出塁時の後はバントをさせていました。そのときはまだ1点ビハインドだったので、相手投手は1点もあげたくない状態でしたが、そこから大崩れとなって、1イニングで大量6点を奪いました。

 今季の三浦監督は初回から中盤にかけてはバントをさせませんが、終盤で先頭打者が出塁すると、しっかりバントをさせています。私自身はこの方法論が一番好きですね。終盤僅差の展開のバントは相手投手が嫌がるバントとなって、非常に有効的だと思っています。

 バントの得点期待値とかっていう統計の話と実際の采配の話は、会社の経営者と現場レベルの思考の違いと似ているような気がします。「森を見て木を見ず」「木を見て森を見ず」みたいな。とりあえず、攻撃時のベンチワークってさ、その場その場で、相手が嫌がる方を選べばいいじゃない。相手があるのが”やきう”なんで、相手方より1点でも多く取れれば勝ちなんですから。

 

【2024年5月1対中日戦

横903000000|12

中000100000|1

バンテリンドーム(ビジター)

De12-1中日

勝利投手  石田健(1勝0敗0S)

本塁打 牧 3号(1回表3ラン)※Deのみ