ベイスターズさんのポストシーズンでは、牧選手や筒香選手、オースティン選手などの長距離砲スター選手の活躍が目立ちましたが、その得点力の下支えというか下ごしらえというか、縁の下の力持ち的な役割を果たしていたのは、森選手と梶原選手だったように感じています。
日本シリーズ初戦。5点差に突き放された9回裏、梶原・森両選手による連続タイムリーもあって、本塁打が出れば逆転サヨナラという場面まで相手を追い詰めることができました。この粘りは、後に4連勝するための一つの突破口になったような気がしています。これがなかったら、強敵・ソフトバンクさんの勢いに押されて4連敗してしまった可能性も否めない。それくらい重要な局面だったと思っています。
ほかにも森選手はCS FINAL2戦目で先制打。FINAL6戦目では牧選手の決勝タイムリーのお膳立てとなった、サードゴロからの3塁進塁の好走塁。梶原選手は日シリ第4戦、宮﨑選手の本塁打で1点リードとなった直後に好守今宮選手の手前に転がす内野安打、そして甲斐選手の強肩をかいくぐっての盗塁によって、桑原選手のタイムリーまでつなげることができました。さらに第6戦では4点差に広げるタイムリーも放っています。2人がポストシーズン躍進に欠かせない選手だったことは間違いないでしょう。
特筆すべきは2人の得点力。打点ではなくホームを踏んだ、記録としての得点ですね。ポストシーズンでベイスターズさんがあげた得点は41。うち森選手があげた得点は10。梶原選手は8なので、半分近くは森選手と梶原選手がホームを踏んでいるということになります。これは相手に抑えられていても出塁できるような2人の突破力、そして、内野ゴロや浅い外野フライでも進塁できる足の速さが武器になっていたという証左だと思っています。また、2人ともポストシーズンではそれぞれ盗塁2を記録。強肩甲斐選手からも盗塁を奪ったという点も見逃せません。上記にあげた”得点力の下支え”とは、いわばこのあたりの部分ですね。
ところがシーズンを振り返ってみると、森選手は71試合、梶原選手は91試合出場とフルシーズン戦いきったとは言い切れません。
■9月に何かが変わった森敬斗選手
今季の森選手は2軍スタートでした。5月に昇格するも、京田選手や大和選手との併用起用。そして8月に守備のミスから降格。「あれ、森敬斗が変わった」と思わせるような活躍を見せるようになったのは9月昇格以降でした。
特によくなったのは守備面だと思っています。今まではその強肩に頼っているかのように「ちょっとミスして自前の強肩でさせればいいや」という感じで思いっきり投げたボールが暴投となって2塁まで進塁させてしまうような場面を何度か見ました。9月以降は足の運びも含めて堅実さが備わってきたように感じます。
打撃面でも何を狙っていたのかわからないような三振を喫してしまったイメージがありましたが、今では、初球の変化球を狙い打って長打になったり、いきなりセーフティバントを狙ってみたり、粘って粘って四球を勝ち取ったりと打席の中での意図が感じられるようになりました。
身体能力はNPBでも随一。2019年高卒ドラ1も来季で6年目。ようやく未完の大器が花を開こうとしています。そういえば、同じ高卒ドラ1の筒香選手もブレイクしたのは5年目でしたね。
■崩されてもヒットにする梶原選手
今季開幕スタメンもバッティングの調子があがらずに4月末に2軍落ちした梶原選手。それでも5月末に昇格すると着実に結果を残し、7月にはレギュラーポジションを手中におさめました。
梶原選手はローボールとインコースを得意としてますね。少々体勢を崩されても内野安打にしたり、外野の前に落とすヒットにできるのはしっかり振れているからだと思っています。四球が少なく、高めのストレートや低めの変化球などボール球にも手を出してしまうところをもうすこし直せれば、さらなる飛躍を望めるような気がします。
また、盗塁数は近本選手の19につぐ16と、規定打席を達することなく2位につけているのも注目すべき点です。1年働くことができればどんな成績を収められるのか、とても楽しみな選手です。
そうなんです。結局森選手も梶原選手も1年働ききることが最大の課題なのだと思うんです。2人には精神的にも肉体的にもしっかりと鍛えて、ケガなく、ポジションを奪われることなく1年働ききってほしいんですよ。おじさんはそれができたときの2人の成績を見たいんです。