FOR REALから見るベイスターズの映像戦略問題(軽いネタバレあり)

 先程、『FOR REAL』を見てきました。お客さんの入りも上々でユニフォームを着ている人もいましたね。

 以前、ベイスターズは『ダグアウトの向こう』というDVDも製作していましたが、そちらは見てないです。今回はCS出場や三浦投手引退など、エピソードが溜まっていたので、見てみようと思い、映画館に赴きました。

 実際のところ、エピソードが溜まっていたというか渋滞してしまっていて、”選手の葛藤”、”それぞれのチームへの想い”とか、一辺倒なつくりにになってしまったような印象を受けてしまいました。「序盤の勝てない今永問題」とか「夏場のヤマヤス絶不調問題」とか、そりゃあ、大変な思いをしていたのだろうなあとは思うし、思うのですけど、ある種、予想を超えられないエピソードになってしまっていたように見えてしまいました。

 三浦投手の引退シーンは泣けましたし、CS出場決定シーンやCSファースト通過時のベンチ裏の様子など、見たかったシーンが入っていましたけど、私にはまだまだ物足りなかったです。冷蔵庫をティッシュで拭きすぎる今永投手とか、ロペス選手の何気ない一言(「TWO MORE」)とか、細かいところで選手の人間性が見られるようなエピソードをもっと入れ込んでほしかったです。赤べこを尻で踏んづける桑原選手とか入れておいてほしかったです。

 当然、尺の問題(劇場の上映時間)もあるので、こういう作りになったのでしょうけどね。園子温監督の『愛のむきだし』なんか237分、ほぼ4時間ですよ。それくらいの長時間作品にしてもよかったように思えます。普段はお茶目なキャラクターなんだけど、試合になったら人が変わるみたいなところまで、できることなら引き出してほしかったです。

 試合前のスタメン発表など、かっこよさげな映像作りに定評のあるベイスターズですけど、もう一つ間口を広げられることはできないかなあと思います。プロ野球のファンになるってことはそのプレイだけではなく、”人となり”を見て好きになるってこともあるでしょうし。「テレビタレントになれ」ってことではなくて、ありのままの姿を見せるだけでも、面白い(興味深い)って感じる部分があるじゃないですか。

 でも、映像って難しいというか、さまざまな見方があるなか、視点を一つに集約しなければならないし。ベンチ裏でカメラを回すのって選手も嫌がるでしょうし。まあね。TBS時代から考えると、よくやってるなあとも思ったりして。