山口俊の「超気持ちいい」問題 愛され投手の矜持

7月5日 横浜スタジアム(ホーム)

De4-0ヤクルト

勝利投手 山口(6勝4敗0S)

本塁打倉本 1号(5回裏ソロ)

79試合 36勝 40敗 3分 首位と10.5ゲーム差 2位

 観戦してきました。ビール半額、おいしゅうございました。試合に関しては山口シューン投手1人で勝ったようなものですが、とりあえず、打撃陣から。

 相手投手はシーズン序盤に完封を喫した山中。1回には、桑原選手が二塁打を放った後のエリアン選手中飛で走塁ミス。ライトスタンドから見ていたのですが、映像で見るよりもかなり打球が伸びたように見えました。先制点がほしいところだったので、あのミスは仕方ない部分もあったように思えます。

 山中はサブマリンの変化球投手ですが、うまく芯を外されていたのでしょうか。エリアン選手以外でも、序盤からヒット性当たりが出ていましたが、外野手正面のライナーになることが多かったですね。その代わり、倉本選手の本塁打をはじめ、うまく角度のついた打球は長打になっていましたね。

 思いのほか、投手戦となった本日の試合でしたが、一番大きな得点は関根選手のツーランスクイズでした。1アウトランナー三塁で宮崎選手が四球を選ぶと、代走に石川選手が入りました。2対0という均衡状態だったため、ヤクルト内野陣は前進バックホーム体制。スキを見て石川選手は盗塁をします。ヤクルトバッテリーはウエストをするなど、警戒していたようでしたが、3ボール1ストライクという、ボールを外せないカウントになると関根選手がスクイズ。相手投手が1塁に投げるとランナーと交錯しました。ベースカバーに入った山田哲人選手のミスという面もあるようですが、様子を見てからホームへと足を向けた石川選手も素晴らしい走塁だったと思います。

 ロペス選手が戻ってきてから、ベンチスタートとなってしまっている石川選手ですが、腐らずにやっていてくれているようです。中堅どころの二塁手ということで、広島の菊池選手や楽天の藤田選手と比べられがちですが、今年はなんか、「チームのために死んでくれる」ようなプレーが多いように感じます。

 心配なのは、戻ってきてくれたロペス選手にまだヒットがないことです。時々、いい当たりもありますが、今日は振り遅れが多かったように見えました。フォームもやや崩れているようにも見えたので、その辺はうまく調整していってほしいですね。

 なんといっても、今日は山口投手です。緩急あるピッチングでなんなく抑えてくれました。四球が3つありましたが、そのうち2つは長距離打者のバレンティン選手。低め低めに気を付けながら投げた結果だと思うので、ヨシとしましょう。不用意に投げた一球で「あああああ」っていう表情をされるよりマシです。

 打者としても2アウト満塁で打席に立ちました。今季は本塁打を放っているので、期待をしましたが結果は三振。それでも、フルスイングしてみせたり、2ストライク後に粘ったりと、「何かをやってくれるんじゃないか」感を残してくれました。

 お立ち台では、いつもの「超気持ちいい」が放たれましたね。以前この件については、一度書きましたが、もういいですよね。だって、報道ステーションとかでも取り上げちゃってるんだもの。今後は流行語のように浸透してもらってですね、山口=超気持ちいいの人になってもらいましょう。そのうち、山口投手が投げるってことは超気持ちいいが見れるかもしれないっていう風にファンにも期待してもらってですね。山口投手も山口投手で、登板した日は「超気持ちいい」って言わなきゃいけなくなるような投球をしてもらう責任を持ってもらってですね。愛され投手になってもらいましょう。

 野球場に行くと見たくなる選手っていますよね。私が小学生のときは屋鋪選手の盗塁が見たかったですし、田代選手の本塁打も見たかったです。大人になったらマシンガン打線と佐々木投手のフォークが見たかった。種田選手のバッティングフォームも見たかった。こういう選手が愛され選手っていうんですかね。観てるだけでこっちがニコニコしちゃう選手っていますよね。

 プロ野球って、観客がお金を払っているので、一つのエンタメだと思うんです。当然、プロのプレイを見せてもらうことや、いい試合をしてもらうのもエンタメですけど、「何かをしてくれるんじゃないか」という期待をさせちゃうの雰囲気を醸し出すのもエンタメ。当然、コメントで何かを盛り上げてもらったりするのも、エンタメで、こういうのは全てプロの仕事なんじゃないかなと思います。

 「超気持ちいい」は、競泳の北島康介選手がアテネ五輪のインタビューの際に発した言葉で、2004年の流行語大賞を受賞しています。それから12年経っているといえども、流行語に著作権はないとも思うのだけれども、人のモノですから、本当はやめてほしかったです。でも、もう浸透し始めているので、止められません。なんか、一度、オフに入ってからでいいんですけど、テレビの企画かなんかで、北島選手に許可をもらうっていうことをやってもらったらどうですかね。そういうところまでやってくれたら、プロのエンタメとして成立するんじゃないかと思います。

 現在、選手会長の山口選手は国内FA権を取得しています。でも、山口選手には、今年1年、せめて来年まで、できれば現役引退するまで、「チームのために死ねる」くらいの気持ちでやってほしいな。この場合、山口選手が「チームのために死ねる」っていうのは、ファンが「超きもちいい」を見たいという責任を果たすという意味になります。もしかしたらだけど、本当はそういうつもりで放った言葉が「超きもちいい」なのかもしれませんが。