なぜエースに井納翔一ではなく石田健大を指名したのか問題

1月9日、ラミレス監督が開幕投手に石田健大投手を指名

 

 ラミレス監督が2017シーズンの開幕投手に石田健大投手を指名しました。また、「エースとしての活躍を期待している」というコメントも残していましたね。

 

 私は昨年のシーズン開幕、そしてCS初戦の先発を務めた井納翔一投手を軸に先発ローテを回していくのかと思っていました。どちらもエース候補だった山口俊の代理登板。シーズン全体を通して7勝11敗3.50と、諸手を挙げるような活躍とは言い切れませんが、完投2、完封1と今のベイ先発陣で一番信用できる投手と言ってもいいのではないかと。ストレートも速いですし、スライダー、スローカーブ、スプリットもキレがあります。力で抑えられる投手なので、エースを任せられる能力を十分に持っているように思えます。

 

 もちろん、石田投手も好投手です。2016シーズンは9勝4敗3.12と好成績です。コースの出し入れを上手に使い、ストレートとスライダーを緩急をつけながらうまく打者を打ち取る、かつての横浜の左のエース・野村弘樹さんのようなピッチングを魅せてくれます。

 

 しかし、完投・完封はゼロ。過去の左肩痛、ラミレス監督の若手投手球数制限バイアスもあって、8回以降にマウンドにあがることはありませんでした。

 

 2016シーズンの横浜のエースは山口俊投手だったのだと私は思うのですね。これは5完投3完封という数字もそうなのですが、山口俊投手が中盤までゼロで抑えているときの安定感といったらないというか。そのときスタンドのファンは「今日は勝ったな」と思ったはずで、そういうときって、球場で戦っている選手、ベンチも含めて、同じように、「今日は勝ったな」とちょっとでも思わないわけがない。思っていたはずなのです。

 

 エースって、ある意味そういうことだと思うんですよね。エースが登板するから今日は勝てる。勝たなければならない。今日は任せた。シーズンは長いので、そういう日、そういう投手が登板する日を週に1度でも作れるチームが強いチームなのだと思います。

 

 ところがラミレス監督は「エースとして完投してもらいたい気持ちもあるが、それは毎回ではない。基本的にはどこで使うか。一番いい試合で使う。ここで勝たないといけない、という試合に投げてもらう。イニングではなく、どこで勝つかがエースピッチャーだと思う。僕の監督のスタイルは150球で完投させるよりも、100球でも勝つのがエース」と話していますね。

 

 ある部分、考え方は私と近い(どんな立場でモノを言っているんだ)ですが、完投型=エースとは、ラミレス監督は考えてないようです。ラミレス監督型エースは2016広島ノムスケ投手(16勝3敗完投・完封1)みたいなことなのかな。

 

 昨年の広島はジャクソン、ヘーゲンズ、大瀬良、今村、中崎とリリーフ陣が安定していました。防御率は大瀬良の3.32以下。方程式ができあがっていて、3完投・2完封の先発・ジョンソン投手もいましたしね。なので、ラミレス監督の考えるエースを確立するにはリリーフ陣をさらに強化しなければならないように思います。

 

 もう一点。成績とは別の目線になってしまうのですが、エースって、ビジュアルと性格も関係してくるように思うんです。会社でもほかのスポーツチームでも、「エース」と呼ばれる人って、そういう性格とそういう顔立ちをしているような気がするんですね。これは立場が人を作っているのかもしれないんですけど。

 

 社会心理学じゃないですけど、「この人ならついていきたい」とか「エースがここまでやっているなら」みたいに、ほかの選手がつられるってことがあると思うんですよね。精神的支柱っていうんですかね。横浜では三浦大輔投手がそういう存在だったと思うのですけど。

 

 井納投手はね。その代車4000km問題とか宇宙人的な性格…これは置いておいて、優しいというか。「エースとは思わない。ローテの6人がそういう働きをしないと」って言っちゃう選手なんですよね。開幕投手への欲はあるけど、引っ張る感じがないというか。エースを任せたら、一皮むけるような気もするんですけどね。

 

 ちなみに石田投手は2016シーズンを振り返り、こんな言葉を残しています。「来シーズンは、もう少し長いイニングを投げさせてもらえるようなピッチャーになりたいです」。」

 

 石田投手は目つきも鋭いですし、欲もある。オールスターの先発を立派に務め上げる胆力もある。こう考えると、石田投手のエースもいいのかなと思い始めました。そして、石田投手がエースであるならば、ぜひ、2017シーズンは完封を決めてもらいたい。

 

 当然、井納投手にも頑張ってもらいたい。最低10勝勝率5割以上は確保してもらいたい。結論は2人とも頑張ってもらいたいということですね。