ベイスターズのバント練習問題

 

DeNAラミ監督“バント漬け”指令「筒香以外は全員してもらう」 2016年10月24日 デイリースポーツ

 

 

 っていう記事があがってました。ラミレス監督は2016年シーズン前に、”2番梶谷”の攻撃的野球を掲げており、「犠牲バントで簡単にアウトを一つあげる必要はありません」とまで語っていました。しかし、デイリーの記事には「バントをできずに落としたゲームがあった」とバントの重要性を説くまでになっていました。

 

 バントってどれだけ重要な仕事なのでしょうか。ベイスターズがCSに出場した際、バントの有無について印象に残ったシーンがあります。例にあげてみましょう。

 

 

■バントで得点

CSファースト第3戦。3対3の同点。延長11回表。倉本選手の内野安打でノーアウトランナー1塁。次のバッター、エリアン選手が送りバント。1アウトランナー2塁で嶺井選手が勝ち越しタイムリーヒットを放ち、これが決勝点に。CSファイナル出場を決める。

 

 

 

■バントをせずに得点

CSファイナル第4戦。2対6と4点ビハインドで3回表。先頭桑原選手が三遊間を抜けるレフト前ヒット。2番梶谷選手はカウント11から2ラン本塁打。これで2点差。

 

 

 どちらも効果的な得点ではありましたが、それぞれ場面が全く違います。前出は1点を争うゲームで、後出は大量得点がほしいケース。2ラン本塁打よりもバントの方が勝利により近づけることのできる効果的な攻撃方法になる場合もあるということですね。

 

 古い記事ではありますが、バントによる走者生還率をとりあげたものがありました。データによると、バントよりもヒッティングの方が生還率が高いとのこと。ただ、この記事では「個別の状況を詳しく分類、検討してバントの効果が認められる条件を考察することや、バントを用いることでの心理面も踏まえた有効性を考察することは本研究で行っておらず、今後の検討を要する」、「たまにはバントをすべき。相手守備陣にバントがあると思わせることが必要」という意見も掲載されていました。

 

 先日行われた日本シリーズ第2戦、1対1で迎えた6回裏の広島の攻撃。先頭田中選手が2塁打を放つと菊地選手がバスターでレフト前ヒット。ランナーが返り、これが決勝点となりました。日本ハムはこの回、動揺を隠せず、さらに3失点を喫してしまいました。

 

 好返球もあったので、なんとも言い切れない部分もありますが、バントが巧い菊池選手だからこそ、バントの可能性が残されていたからこそのビッグプレーだったように思えました。

 

 1点差を争うゲームで、ノーアウトランナー1塁。バントの可能性がありつつも、あえてヒッティングにするのか、盗塁にするのか、選択肢が多い方が相手投手を揺さぶることができます。バントをするしないは別にして、バントが下手であるより、上手な方がよいのですよ。できないよりできた方がいい。また、そういった場面でどういう攻撃をするのかを予想するのも楽しいじゃないですか。

 

 前出の毎日新聞の記事でラミレス監督は「犠牲バントの多用は、日米のメンタリティーの大きな違いです」と話していました。日米の野球がどう違うのかはよくわかりませんが、日本の野球においては、バントって、重要な要素のような気がします。