倉本寿彦でいいじゃないか問題

 ここ最近、まとめ記事などを見ていると倉本選手が微妙にバッシングされ始めているようです。ベイスターズでその位置にいたのは石川雄洋選手だったのですが、石川選手のスタメン起用が減っていることからバッシングのスライド登板ということで、なぜだか倉本選手に白羽の矢が立ったみたいですね。

 

 石川選手に関しては、ひじの状態が悪いことに加え、スローイングに難があったり、セカンドゴロ率の高さだったり、一二塁間のゴロを無理にセカンドで刺そうとしたり、ネタが絶えなかったので、バッシング対象としてはうってつけだったのでしょうけどね。「早く石川選手を外して、暗黒時代を払拭したい」みたいなことを言うファンがいたりしてね。ひどい話だなあと思うわけですけども。私は石川選手の三遊間をライナーで抜ける当たりが好きなので、わかるけど、そこまで言わなくてもいいじゃないかと思ってますけどね。「とりあえず、できることを堅実にやっていこうよ」みたいなことを言いたくはなりますが。

 

 ではなくて、今回取り上げたいのは倉本選手です。「なぜだか白羽の矢」の「なぜだか」の部分は皆さんご存知の通りセイバーですね。セイバーメトリクスというやつです。「やきゅーにおいてでーたをとーけーがくてきけんちからきゃっかんてきにぶんせきし、せんしゅのひょーかやせんりゃくをかんがえるぶんせきてきしゅほう」ってやつです。棒読みしましたけど。

 

 確かに、倉本選手の守備指標のUZRは-11.7と阪神・鳥谷選手の次に悪く、長打率指標のSecA、選球眼指標のBB/Kはセリーグ規定で最悪です。打率は.294。ヒット数は多いけど長打がなくて、選球眼がない。そして守備範囲が狭い。盗塁数は2と足は遅い。叩く理由はそろっちゃった。

 

 でも、ぜいたくすぎやしませんか。と私は思うのです。守備率は.989で遊撃手リーグ2位。堅実な守備ですよ。今年の打順は7番を予定。7番で3割近く打ってくれれば御の字じゃないですか。

 

 つい数年前のベイスターズを考えてごらんなさい。クリンナップだけ固定されていて、1,2番は塁に出ない。6番以降はヒットが打てない。ランナー出た後の下位打線なんか、こっちが先に諦めちゃうような打線だったんですから。

 

 今年の打線は1番桑原から6番宮崎(田中浩康選手説ありますが、個人的には宮崎選手推し)まで全員ヒットが打てる。ホームランも打てる。それでいて7番に倉本選手ですよ。マシンガン打線以来の打順が組めているではありませんか。十分ですよ。昨年の倉本選手のサヨナラ安打を忘れたのですか。今までだったら7番打者(サヨナラ安打時は6番起用)のサヨナラ安打なんてありえませんでしたよ。

 

 さて。オープン戦なんかを見てると、倉本選手は微妙に長打への色気を感じさせますね。一本足の門田博光日本新薬時代の臨時コーチ)でなくてもいいのですよ。振り子の坪井智哉(現ベイスターズ打撃コーチ)でいいじゃないですか。守備範囲が広くなくたっていいじゃないですか。どんなに練習したって、足が急に速くなることはないんですから。諦めることも大事です。

 

 私のような一ファンが倉本選手に望むのは、堅実なプレーといぶし銀のヒットですね。大逆転のホームランや魅せるファインプレーなんかは若い人や子どもたちに夢を与えますが、堅実なプレーは私のようなしがないおっさんに勇気を与えてくれるのです。