我々は石川雄洋と心中するつもりではなかったのか問題

6月29日 甲子園球場(ビジター)

雨天中止

73試合 33勝 38敗 3分 首位と10.5ゲーム差 3位

 昨日の悔しい敗戦から一夜明け、苦手意識を作らないように、今日は勝ってほしいなあと思っていたのですが、雨天中止。中継ぎ休暇くらいにはなったのではないでしょうか。あと、ロペスが帰ってきたときの試合が1つ増えたと思えば、恵みの雨だったのかもしれません。

 さて、ロペスが帰ってきたら、レギュラーは誰が外されるのか問題が浮上している昨今。ネット上では石川雄洋説が有力となっておりますが、本当にそれでいいのでしょうか。

 石川選手はチーム野手最長在籍選手です。内野手リードオフマンとして期待されたまま、いつの間にか齢30になってしまいました。

 横浜というチームは、内野手で名手のリードオフマンを何人も生み出していました。大リーガー・ボイヤーに教えを乞うた山下大輔、3割打って当たり前だった高木豊、山下に代わってレギュラーを勝ち取った高橋雅裕、そして、38年ぶりの日本シリーズの1打席目にセーフティバントを決めてみせた石井琢朗。このうち、高木と石井は盗塁王を獲得しています。このポジションは、後輩が先輩の背中を見て育ち、羽ばたくというシステムが完全に出来上がっていたのです。

 かつて、月刊ホエールズという雑誌で高橋雅裕は「まーちゃんのおしゃべり泥棒」という対談コーナーをもっていました。私の記憶が正しければ、最終回のゲストは高木豊だったと思う。このときの高橋は緊張しきりで、高木の経験談、先輩エピソードなどを聞きこんでいました。そのときに、まだファームにいた進藤達哉選手も同席していました。

 何を言いたかったかというと、同じチームに名選手がいる重要性を訴えたかったのです。こうしてDNAが受け継がれていくのです。ところが、石井琢朗が広島カープに移籍した後、このDNAは途切れてしまいます。当時の横浜の二遊間は破滅的でした。

 それでも、藤田一也と石川雄洋が若手として頑張っていました。当時、守備は藤田、打撃は石川の方がよかったように思えます。藤田はバントが下手でしたね。そうこうしているうちに、2012年になると、藤田は内村賢介との交換トレードで楽天に行ってしまいました。

 石井琢朗の好守のDNAは広島の田中広輔&菊池涼介という二遊間に受け継がれ、藤田一也は楽天で日本一を経験し、ベストナインゴールデングラブ賞を受賞しています。

 横浜に残った石川はどうでしょうか。横の動きやフライの捕球は悪くないですが、高いバウンドを前進して捕球、全般的な送球などに物足りなさを感じます。バッティングに関してはどうでしょう。中に入ってくる変化球をレフト方向への流し打ちするのが上手だなあと思います。2ストライク後の粘り。エンドランをを託せる。1,2番打者としては欠かせない要件を持ち合わせた選手です。ですが、打率3割を超えた年は1度もありません。タイトルゼロ。オールスター出場歴ゼロ。

 ここ最近、石川とは違うところで、このDNAを受け継ぐ選手が現れました。倉本寿彦選手です。神奈川県出身の倉本選手は小さいころから石井琢朗に憧れ、ついに横浜のショートストップを勝ち取りました。堅守で慣らし、今年は打棒でも爆発。現時点で3割をキープしています。石井本人から応援歌を譲り受ける確約も取っています。

 それはそれでいい。よいこと。でも、本当に頑張ってほしいのは石川選手なんですよ。キャップの座は後輩の筒香選手に譲ってますけど、人間的にも成績的にも引っ張ってほしいのは石川選手なんですよ。急に守備がうまくなるとか求めないから。ホームランも求めてないから。恰好つけてもいいけど、堅実に地道にチームのために頑張ってほしいのですよ。いや、頑張ってるとは思いますよ。でも今の齢で、今の実力で、レギュラーを簡単に取られてしまってはいかんのですよ。横浜が優勝するには、石川、梶谷、筒香の3人が成績を残してくれることが必須条件なのですよ。

 ニコ生の弾幕で見られる「雄洋雄洋雄洋雄洋雄洋雄洋雄洋雄洋」にはこんな想いが込められているのではないかと思って、今回は石川雄洋内野手を取り上げてみました。